自分の体が宙に浮く不思議な感覚。
それはほんの一瞬の出来事だが、二度と引き返すことのできない時間だった。
〈 嫌だよ……。
私、死にたくない……。
私にはまだ、未来があるのに…… 〉
体が落下し始めた私が、そう思って、絶望の恐怖の中、空に向けて手を伸ばしたとき、和也が私の手を力強く握りしめた。
私の右手は、かろうじて和也とつながり、私は校舎の屋上で宙ぶらりんのまま、恐怖に顔を歪め、和也を見つめた。
「香澄、絶対に手を放すな!」
和也の震える声が、聞こえてきて、私は右手に力を込めた。
でも、和也とわずかにつながっている私の右手は、本当に頼りなくて、いつ和也の手と離れてもおかしくなかった。
「香澄はオレが助ける。
それが、香澄との約束だから……」
和也が全身に力を込めながらそう言ったとき、私の体は少しずつ屋上の方に引き上げられていった。
それはほんの一瞬の出来事だが、二度と引き返すことのできない時間だった。
〈 嫌だよ……。
私、死にたくない……。
私にはまだ、未来があるのに…… 〉
体が落下し始めた私が、そう思って、絶望の恐怖の中、空に向けて手を伸ばしたとき、和也が私の手を力強く握りしめた。
私の右手は、かろうじて和也とつながり、私は校舎の屋上で宙ぶらりんのまま、恐怖に顔を歪め、和也を見つめた。
「香澄、絶対に手を放すな!」
和也の震える声が、聞こえてきて、私は右手に力を込めた。
でも、和也とわずかにつながっている私の右手は、本当に頼りなくて、いつ和也の手と離れてもおかしくなかった。
「香澄はオレが助ける。
それが、香澄との約束だから……」
和也が全身に力を込めながらそう言ったとき、私の体は少しずつ屋上の方に引き上げられていった。



