死んでもずっと友達だよ

「ねぇ、翔子。

ちゃんと聞いてる?

翔子は海に来てくれるよね」




翔子は夏希の存在に気づかないフリをして、足早に廊下を歩いた。




翔子の靴が置いてある下駄箱まで、あと三十メートル。




あと数分間だけ、夏希の存在を無視すれば、翔子は学校から逃れられた。




真っ暗な昇降口。

静まりかった長い廊下に響く、翔子の足音。




翔子は背後にいるはずの夏希に怯え、息を詰まらせながら、下駄箱を目指して歩いていた。