死んでもずっと友達だよ

「ねぇ、翔子。

私、みんなで海に行ったあの日のことを今でもよく覚えているの……」




翔子が足早に歩き続けると、ようやく下駄箱が見えてきた。




〈 もう少しよ。

あの下駄箱で靴を履き替えて、校舎を出れば、きっと夏希は追ってこない。

夏希はまだ自分が死んだことに気づかずに、学校の中をさ迷っているだけだと思うから…… 〉




「ねぇ、翔子。

私はもう一度、あの海に行ってみたい。

翔子も、あの日の楽しかったことを覚えているでしょ?」




〈 夏希の存在に気づいてはダメよ! 〉




翔子は自分にそう言い聞かせた。




〈 夏希に関わったら、私も浩太みたいに、あっちの世界に連れて行かれる。

そんなのって、イヤだよ。

私はまだ、死にたくない…… 〉