「ねぇ、翔子。

どうして私を無視するの?」




翔子の背後から、再び不気味な声が聞こえてきた。




その声は、いつもよりも低くて不気味ではあったけど、翔子には聞き覚えのある声だった。




〈 夏希だわ…… 〉




翔子はそのあってはならない事実に気づいて、体が震えた。




〈 夏希が私に話しかけている……。

でも私は、夏希と話をしてはダメよ。

夏希と話をしたら、私はきっと取り憑かれる…… 〉




翔子はそう思うと、ゾッとして寒気がした。




〈 私は浩太みたいになりたくない。

お願い、夏希……。

どっかに消えて! 〉