翔子は昇降口で上靴に履き替え、誰もいない校舎の中を足音を忍ばせて歩いた。




〈 誰もいない校舎って、本当に不気味ね。

しんと静まり返って、お化けでも出そうだもの 〉




キュッ、キュッ、キュッ、キュッ。




上靴と廊下が擦れる音だけが校舎の中に響き渡る。




〈 早く音楽室に行って、楽譜を取ってこよう。

静り返った校舎は気味が悪いから…… 〉




翔子はそう思って、足早に音楽室に向かった。