「和也、夏希のお父さんって、この鉄工所の隅で、首を吊って自殺したのよね」




「ああ、会社が倒産することが決まってからすぐだったらしいぜ」




「でも、会社が倒産したくらいで、自殺しなくて良かったんじゃ……」




「そうだよな。

オレもそう思うよ。

自殺なんて、間違ってるよ」




私と和也はそんな会話を交わしたあとに、鉄工所の前を立ち去り、夏希の自宅へと歩き始めた。