私はその日、夢を見た。




その夢は死んだ夏希の夢だった。




学校の自分の席に座っていた私の後ろから、夏希が悲しげな声で話しかけてきた。




「香澄、ゴメンね。

私、みんなに何も言わないままに、あっちに逝っちゃった」




私はもう聞くことがないはずの夏希の声にゾッとしていた。




どうして夏希は私のところに現れたのか?




夏希は私に何を伝えたいのか?




私は夏希の声に振り返ることなく、夏希の声を聞いていた。