それならば、いっそのこと、死んでしまおうか?


私の頭の中にそんな考えが思い浮かんだとき、私はまだ一つだけ、自分がやり残していることに気づいた。


〈 私、病院に行かなくちゃ。

百合子が、病院で私を待ってる。

私はまだ死ねない…… 〉


私はそう思って、気だるい体を起こして、ゆっくりと立ち上がった。


〈 百合子、あなただけはどうか無事でいて…… 〉


私はそう思いながら、武士の返り血を洗い流すため、シャワーを浴びに風呂場へ向かった。


今から病院に向かい、百合子の無事をたしかめるために……。