武士が小夜子のいる家へと出かけると、百合子はアパートの自分の部屋で一人になった。


百合子は一人で部屋にいるときはいつも、部屋を明るくし、テレビのボリュームも大きめにしていた。


百合子は今日、武士が小夜子に会いにいったことで、これからの生活に希望を持った。


もしかしたら、お父さんとお母さんは仲直りをして、自分たちはまた以前のように家族三人で仲良く暮らせるのではないか。


自分はこのアパートを離れ、お母さんがいるあの家に戻れるのではないか。


百合子は、淡い期待を胸に今日の二人の話し合いが上手くいくことを願った。