願いは叶う

私は、母の話に納得ができなかった。


どうして母ばかりが、つらい思いをしなくてはならないのか?


なぜ母は、父のような横暴な人間を、優しい人などと言うのか……。


「お父さん、お願いだから、お母さんを殴らないで!」


ある日私は、泣きながら父の腕にしがみつき、父を止めようとした。


もうこれ以上、母が悲しむ姿を見たくなくて……。


でも父は、何も言わずに私を払いのけると、また母を殴った。


私は、そのことがひどく悲しくて、父と母が争う隣りで、声を上げて泣いていた。


父は一通り暴れると、近くのスナックへと出て行った。


母は、狭い部屋の中でその日もずっと泣いていた。


私は、泣いている母を見ていると、無性に悲しくて、母の隣りで泣いていた。


幼い私には、悲しい毎日の生活を変えることはできなかった。