願いは叶う

「百合子が、何かに怯えて?」


「ええ、学校の先生がそう言っていたわ」


私はそう言って、武士と目を合わせた。


「百合子、心の病気じゃないかって……。

一度、病院に行ってみた方がいいんじゃないかって……」


「それで百合子は、今どこに?」


「二階の自分の部屋で寝ているはずよ。

でも百合子は、病気なんかじゃない。

百合子は久しぶりの学校で、ちゃんと授業を受けられなかっただけよ」


「小夜子は小学生の頃、途中で授業を抜け出したことがあるかい?

百合子は、本当に大丈夫なのか?」


「今はダメだけど、きっと大丈夫よ。

だって、私たちの百合子ですもの。

あの子は、私たちの大切な宝物よ。

少しのことで、ダメになったりしないわ」


「でも小夜子、これで百合子が倒れたのは二度目だぞ。

これは普通じゃない。

本当に百合子は大丈夫だと、小夜子は言いきれるのかい?」


武士がそう言ったとき、二階の方から甲高い悲鳴が聞こえてきて、私たち二人はびくりとして、顔を見合わせた。


その甲高い悲鳴は、間違いなく、二階で寝ているはずの百合子の声だった。