願いは叶う

「小夜子……」


武士の失望の声が、私の耳に入り込んだ。


「隠し事はしない約束じゃないか。

僕たちは、いつだって助けあっていこうって」


武士の優しい気持ちは、私が一番よく知っていた。


私には、もったいない最高の夫。


私は、武士を失望させたくはなかった。


「武士さん、今日、百合子が学校で、また倒れてしまったの」


私は、私の胸を苦しめた大きな出来事を話すことで、話題をそらした。


「百合子が、学校で!

いったい、何があったんだい」


「それが、学校の先生も、理由がよくわからないらしいの。

授業中に突然、百合子が怯えて、教室を抜け出して、百合子のことを先生が見つけたときには、百合子は校舎の三階で倒れていたらしいの」