「あの女の人の顔が……」


百合子はそう言って顔を歪めた。


「あの女の人の顔が、なかったの。

切り刻まれて、えぐられて……。

私、あの顔を見て、恐ろしくて声を上げたのだけれども、誰も助けてくれなくて……」


「百合ちゃん、顔のない女なんて……」


朋子は、小さな声で呟いた。


「朋ちゃん、これは本当の話よ。

嘘じゃないの。

だから私、今でも外にいるのが怖い。

だから朋ちゃん、私から離れないでいつも近くにいてね」