たしかに桜井由美は、容姿も内面も素晴らしい女性だ。


彼女はまるで高価な宝石がキラキラと輝いているかのごとく、周囲の目を引き、誰からも褒められ、羨望の眼差しを一身に集めている。


だからこそ私は、桜井由美を許せなかった。


だからこそ私は、桜井由美を憎いと思った。


桜井由美の隣りに私が立ってしまえば、輝く宝石と鉛色の石ころくらいにその違いが鮮明に浮かび上がる。


私が桜井由美に憧れ、彼女になりたいと、彼女のようになれればと、強く心の中で願ってみても、それは叶うことのない夢の話だった。


だって私は寺田小夜子。


鉛色の石ころを毎日懸命に磨き続けても、輝く宝石にならないことは、小学生ですら知っていた。