「大変な戦いだったのね」
「まあ、な。でもたいしたことはないさ、こんな傷くらい。・・・それより見に行かないのか?」
「・・・・いいわ。どうせ見ても私には気付いてくれないわよ」

そう言うと、メルダは俯いた。

「・・・好きだったのか?勇者の事」
「・・・ええ。小さい頃からね。でも、もうその事も言えない位遠い存在になってしまったけれど」

泣かないように、スカートの裾をぎゅっと握り締める。


「そうか・・・。じゃあ尚更だ」

ふわっと身体が持ち上げられたかと思うと、メルダはカインに担ぎ上げられていた。

「なっっ!何するの!?」

メルダは降りようと抵抗するが、カインの腕の力が強くて降りる事が出来ない。



そのまま、カインはある場所に向かうのだった。