決して大柄では無かったが見たこともないような筋肉質な身体をして飛んだり跳ねたりして相手と戦った。


格好いい!!と初めて見た時から思った。


日本人には当時は居ないタイプのレスラーだったし何より覆面レスラーというミステリアスな部分にも惹き付けられたのかも知れない。


小学校でもプロレスは流行っていた。


休み時間になるとあちこちでプロレスごっこをしていたが、マスクを着けて来る人間は最初は居なかった。


クラス内でマスクマンブームとでも呼ぶべきものを作り出したきっかけは、福永だった。


福永正一は、父親が海運会社を経営していてその町で一番の金持ちだった。


家の庭は広くゴルフネットが張られていて前を通ると父親が時々スウィングをしていた。


ゴルフなんてものは、当時はお金持ちのスポーツだった。


福永も小柄だが、色が白く学校にジャケットを着てくるような子供だった。


周りの子供達は、洗濯こそしてあるが毎日似たような安物の服を着ていたが福永だけは異質な存在だった。


単純に言えば金持ちのボンボンだったが、嫌われてはなかった。


むしろ、金持ちの為に色々な新しい物を手に入れていたためにクラスの憧れ的な存在だった。


僕は、周りとは違い福永の時に見せる傲慢な態度が苦手だった。