「……主文。
 被告人木山悟に対し、刑法第240条強盗殺人罪の罪によって、無期懲役に処す。判決理由……」

 朗々と読み上げられる判決理由。

 私の耳に届いた言葉は、

 無期懲役

 の四文字だけだった。

 他の言葉などどうでもよかった。

 聞くつもりも無かった。

 横目で検事の方を見る。

 陰気そうな表情をしていた。

 私には一度も視線を寄越さず、じっと前だけを見つめていた。

 私の弁護士は、落ち着きの無い表情をしていた。

 黒いスーツの肩に、粉を吹いたようにフケがあった。

「……尚、本法廷の判決に対し、不服がある場合は、十四日以内に控訴手続きをして下さい。それでは、これで閉廷致します」

 法廷内の時計はまだ十二時前。

 腹が減って来た……