そんなこと考えたこともなかったし。

将来なんて、いったいいつのことなんだろう?

もともと飽きやすい私には、将来の夢なんてないんだよね。

なりたい職業といえば、女優とかお医者さんとか。

それが現実離れしていることにも、ようやく最近やっと気づいたところだし。


遙香を見ると、「ん?」と首をかしげてこっちを見ている。

「遙香はなにか、夢あったりするの?」
逆にそう尋ねると、遙香は口のはしをキュッと上げてうなずいた。

「え? なになに?」

そう尋ねたのはあたしじゃなく、瑠奈のほう。

小柄な瑠奈は、目を大きく見開いている。

「まぁ、本格的なものじゃないんだけどさ」
前置きをしたうえで、遙香が口を開いた。
「看護師さん」