つられるようにそこを見ると、屋上に誰かいる。

激しい雨の中、両手を振って助けを求めている。

「まさか……」

「おい。あれって千夏か?」
太一の声に、私は走り出した。

状況のわかっていない瑠奈が、
「どうしたの?」
と、後ろで言っているが答えているひまはなかった。

生徒をかきわけて前に進む。

肩がぶつかり、
「んだよ?」
「押さないでよ!」
という声が聞こえるが、私は必死だった。