真っ黒いふたつの目が俺を見ている。

開いた口は、笑っているのか?

「ウソだろ、おい……」


唖然とする俺は、その時になって初めて先に見える信号が赤になっているのに気づいた。


ブレーキランプを灯して停車したのは、さっきの赤い軽自動車だった。

「うわあああああああ!」
叫びながらも、一直線に突き進んでゆく。

ハンドルが固まったように動かない。


ブレーキが利かない!


早送りのように、軽自動車が大きくなってゆく。


24-44の数字がどんどん大きく迫ってくる。