「ごめんなさい、純子。お母さん、また……」
そう言ってお母さんはあたしにすがりつくようにして泣いた。

いつも、そう。

さんざんあたしにあたってから、理性を取り戻す。

あれだけののしっておいて、そのあたしにすがりつくの。

その後は、あたしをその酒臭い体で抱きしめる。

「いいの、いいんだよ」
あえぐようにしながらも、あたしはほほえむ。


それが、お母さんが求めているあたしだから。


「ああ、純子……」

お母さんの臭い息。

嫌悪感がわきあがるけれど、あたしは許すしかない。


……許す以外になにができるの?


「お母さん、いつもありがとう。本当に感謝しています」


ウソをつくのも、もう慣れた。