「ほんっと、うんざり」

アタシのひとりごとに、運転手がバックミラー越しに目線を送ってきた。

なによ、見るんじゃないわよ。

にらみ返すと、慌てて視線をそらした。


情けない男。


男なんてみんなバカだ、と思っているのに、その男に媚びて金を稼ぐしかないなんて。

駅前で降りると、アタシはコンビニに飛びこんだ。

受付に置いてあった香典は、残らずカバンに入れて来た。

クラスメイトばかりだったけれど、一般の参列者もいたからいくらかまとまったお金にはなっているはず。

「これまでの迷惑を思えば、当然よね」

今ごろ、あの男は驚いているだろうが知ったこっちゃない。

そもそも、葬儀だってやるつもりなかったのに、あの男が泣きついてきたから仕方なくやってあげたんだから。