「あれ、岡村くん?」



委員長としての仕事……つまり雑用を終えて教室に戻ってくると、5時過ぎ。

そんな時間に教室に残っている人なんていない思っていなかったのに、そこには机にうつぶせた岡村くんがいた。



外はもう暗く、同じ4階の他の教室にも人影はなく明かりは着いていない。

この教室だけが浮かび上がるようになっている。



「んー? あ、委員長だー」



眠いのか、いつもよりふわふわとした声のトーン。

体もぐでーんと力が入っていない。



「どうかしたの?」

「ちょっと人を待ってるんだー」



彼の前髪がさらりと揺れて、柔らかい印象の目元が晒された。



「そういう委員長は?」

「先生に言われて、プリントを印刷してたの。それからホッチキスで閉じたり」

「うわ、大変じゃん。お疲れー」



ねぎらってくれる岡村くんにありがとう、と小さくお礼を口にする。

あくびをひとつこぼして、岡村くんはすっかり目が覚めたみたい。



「なんかあったら遠慮なく言ってよ。
おれ、手伝うからさ」



委員長みたいに上手くできないと思うけど、とケラケラ笑う姿に私も思わずつられて笑顔になる。



本当、岡村くんはいつでも正直よね。