わざわざ、若菜の通う中学校まで行き、テルさんとのデートをキャンセルさせたという。


あたしが核心に迫ると、和希は目を逸らした。


鼻をかく仕草に、少しの動揺を感じたあと。


「聞こえたんだよ、アンタとあの女が話してんの」


「……?」


「玄関で揉めてただろ」


そう言われて、先週若菜の帰り際に、テルさんの家に行く行かないで揉めていたのを思い出した。


「……聞いてたんだ」


「人聞きの悪いこと言うなよ。あんなデカイ声で話してたら、勝手に耳に入るっつーの」


「あ、ごめん……」