手が痛い。






『輝!』






頬が痛い。






『お願い、やめて!』






体が、






『きゃぁあ……っ』






熱い、熱い、熱い────!












「輝、やめろ!」



誰かに押さえつけられて、ようやく自分が腕を動かしていたことに気づいた。



やけに力の入っていた手に目をやると、拳が赤く濡れている。

赤黒くて、独特な匂い。



……血だ。






ぬるりとした、その感覚は手だけじゃなくて、頬にもべったりとこびりついている。



俺の下には、俺に乗りかかられて顔を腫らしつつ、血を流す陽介さん。

互いに制服はボロボロで、傷だらけだ。



そして部室の隅には、肩を押さえながら怯えたようにこっちを見つめる、




















────────柚季がいた。