降り注ぐのは、君への手紙



やがて私はその店で常連と呼ばれるまでになった。

お客さんには敬語が使えるようになった武俊くんも、私の歳が近いせいか、親しみを込めて荒い言葉を使う。
特別な感じがして嬉しかった。


「今日は俺が入れた珈琲」

「え? 武俊くんが?」

「マスターのお墨付き。おごってやるから飲んでみて感想教えてよ」

「う、うん!」


私好みの薄目の珈琲だ。
お店の珈琲は大抵真っ黒に見えちゃうけど、コレは茶色だとかろうじて認識できるくらいの濃さだ。でもちゃんと苦味が感じられるギリギリぐらいのバランス。


「わ、すっごく美味しい」

「マジ? お世辞とかいらねぇけど」

「ほんとほんと。ホントに私好みの味。凄いね、武俊くん」

「そ。やった」


そのニカッと笑った顔が、なんだかとても格好良くて。
私の心臓は激しく暴れだす。


「ね、これ、美味しいケーキと一緒に飲みたいな。ケーキセットにしてもいい?」

「それまで俺のおごりかよ。まあいいや。どれがいい?」


彼が見せてくれたのは、セットに出来るケーキの一覧。
私は大好きなチョコレートのケーキを選んだ。


「待ってて。直ぐ持ってくっから」


武俊くんはすぐに戻ると冷蔵ケースの中からチョコレートのケーキを取り出した。


「ほい、サービス」


普段はシフォンケーキにしかつかないクリームを添えて、珈琲ももう一杯入れてくれた。

一口含んだだけで幸せになれる。今まで飲んだ珈琲の中で一番美味しかった。