降り注ぐのは、君への手紙



「……というわけで、宮子を探しておるんです」

「そりゃじーさん、宮子さんはきっと天国ってやつに行ったんじゃないか」

「なら、そこに行きますので、行き方を教えてくれますかいの」

「行きます……で行けんのかな。まずは閻魔のところにいかなきゃいけねぇ気がするなぁ」


俺の返事に、じーさんは肩を落としてしまった。


「とにかく、宮子さんに手紙を書こうぜ。そうしたら迎えに来てもらえるかもしれないだろ」

「おお、それはいい考えですな」


じーさんは嬉々として鉛筆を握った。
ボケているから、よれたような文字を書くのかと思ったら、小学生の書取のようなしっかりした文字だった。


【宮子さま

君を探しに行きますから、居場所を教えて下さい。

必ず追いつくから、待っていてください。
また一緒にひまわりを見ましょう

惣一郎】


どうして昔の人は手紙になると途端に丁寧なんだろう。

ボケたじーさんには正直辟易するが、この真摯な思いには胸をつかれる。
じーさんはずっと、……宮子さんだけを好きなんだな。

その時、壁にかけられた鏡が再び揺らいだ。


「え?」


俺は思わず、カウンターを飛び越えて駆け寄る。
じーさんは驚いたように俺と鏡を見つめていた。