降り注ぐのは、君への手紙


瞬間、僕は彼女を抱きしめていた。
年上の教師という、手の届かない存在ということも忘れ、己の腕に閉じ込める。


「家にもひまわりを植えましょう。僕と、ずっと一緒にいてください」


宮子は頷き、そして笑った。
とても幸せだった。


しかし、その後も障害は色々あった。
宮子は母親を一人には出来ないと言ったし、僕は僕で長男だったから家を継がなくてはならなかった。

やむなく暫くの間、僕が時折宮子の家に通うという通い婚のような状況を続けていたら、親類縁者は眉を潜め、陰口を叩かれた。

色々な意味で僕と宮子は不釣り合いだった。
反対はされてしかるべきだったのだろう。

疲弊する僕を救ってくれたのは、誰に何を言われようとも揺らがない宮子の鉄の意志だった。


「言いたい奴には言わせておけばいい」


悪評など切って捨てるような彼女の態度に、やがて人は言っても何の効果もないと諦め始めた。
その内に、五歳下の弟が就職し僕に言った。


「母の面倒なら僕が見るから。兄さんは宮子さんと一緒に暮らしなよ」


気の優しい、誠実な弟だった。
ずっと宮子と僕の味方でいてくれた。


「ありがとう」


僕は宮子の家に行き、扉を開けるなりこれからはずっと一緒に暮らそうと告げた。

その時初めて、宮子が号泣するのを見た。