そんな交流を続けて、ひまわりの花が咲く頃には、僕らはすっかり打ち解けていた。
そしてその頃、小学校での仕事も終わり現場を移ることになる。
「僕のところに嫁に来てください」
ひまわりに見下ろされながら、僕は決死の思いで言った。
断られるのは十分に有り得ることで、それでももう言葉にせねば堪えられないほど、彼女が愛おしくてたまらなかった。
「物好きな男だな、君は。私と君の間にはどれほどの歳の差があると思っている?」
「五よりは上、でも十以上の差はないでしょう? 歳が上の女性を好きになってはいけないなどという法律はありません」
「法律ねぇ」
宮子は呆れたような声を出し、僕の手をとった。
「……後で後悔するがいいよ。こんな年増を嫁にもらったと皆に笑われる。後から嘆いても遅いのだぞ?」
「年増だなんて思いません。僕は、……僕はずっと」
この時、初めて桜の下での出会いを語った。
まだ少年の憧れだったかもしれない。
でもあの時から、あなたが胸に棲み着いてしまったのだと。一緒にいて、それは恋へ変わったのだと。
「ああ、あの時の」
宮子は頷き、ひまわりを見上げた。
「父が死んだ時だ。父は……仕事であまり家にはいなくてな。死んだと言われても私は実感が無くて泣けなかった。しかし、葬儀の席では皆が泣いている。……ひどく悪い娘のような気がして、いたたまれなくて飛び出した時、花吹雪が吹いた。……花びらに包まれ、周りが見えなくなって、その時一筋だけ涙がでた。父に抱きしめられたような気がしてな。
その後、持って帰ろうと花びらを拾っていた時に少年に出会ったな。あれが君だったのか」
「そうです。僕です」
「凄いな。じゃあ私は、君にもらわれるために今まで一人だったのかも知れない」



