降り注ぐのは、君への手紙



……気がついたら夜は明けていた。

チチチチと小鳥がさえずり、野暮ったい丸鼻の男が私を見て「見つかったぞー」と叫んだ。

私は濡れたまま川面に倒れていたらしい。

一晩宴に興じていた兄が、寝る前にたまたま私の部屋を覗いて不在に気づいた。
そこから、村では大捜索が行われたのだそうだ。

私を見つけたのは、田端という小作の次男坊だという。

私はすぐさま医者にかかり、しばらく死線をさまよったものの、四日後には起き上がって食事ができるほどまで回復していた。


「……お前が倒れていた川で死体が上がりました」


母は、怒りを抑えたような口調で告げた。

ああ、佐助だ。
私は佐助についていけなかったと唇を噛みしめる。


「随分前に行方不明になっていた男です。ふやけて、魚にも食いちぎられていて、死んでから少なくとも一ヶ月はたっているだろうという話です」

「……え?」


何を言っているの。
佐助は昨日までちゃんと生きていたのに。

母は、まるで化け物を見るような目で私を見つめ、ため息を落とした。


「誰にも内密の話です。あなたの姉、凛はその男と恋仲になっていました。板倉……佐助と言ったかしら。身の程知らずにも三ヶ月ほど前挨拶に来たのです。どうか凛を嫁にほしいと」


母は何を言っているのだ。
彼と恋をしていたのは私だ。
この身の全てを彼に預けたのはこの私だ。