降り注ぐのは、君への手紙



【いつまでもあんな親父に報われない恋をしているお前が悪い。
悔しかったら、もっといい男を見つけて、たっぷり幸せにしてもらえ】


もう今は、まだ知らぬ誰かに託すことしか出来ない。

彼女を幸せにしてやってくれ。

世界中の誰より、
幸せに笑わせてやってくれ。

だって成美はあんなに綺麗なんだから。

俺のことも親父のことも忘れて、

俺が心底くやしがるくらい幸せになればいい。


書き終えたら目頭が熱くなった。


泣くとか格好悪い。

ダセェよ。
ダセェこと続きで嫌になる。


「……かけましたか」

「ああ」


男はするりと俺の手の中から紙を奪い取り、薄い微笑みを浮かべたままそれに目を通した。


「素直じゃない方ですね」


くすりと笑い、それからどこから取り出したのか大きなハンコを持ってきた。


「……あなたの手紙は受理されます。そうですね。この内容ですと雨という形で降り注ぎます」

「は?」

「死人の想いは文字では伝えられないのですよ。けれどちゃんと届きます。ご心配なく。それがこの郵便局――黄泉国(ヨミクニ)郵便局の仕事です。見たいならばそこから覗いてご覧なさい」