降り注ぐのは、君への手紙


卒業式の日、俺は花束を持って高校の前で待った。

ここから出てくる成美にこれを渡して、謝る。

考えるだけで背中がこそばゆくなるし、怖気づきもする。
なんてったって既に半年近く一言も話していないんだから。


ずっと立っているからか、小さな猫が小首をかしげて俺を見上げる。


「にゃおん」


小さな茶色の猫だ。
近所で飼われているのかな。首輪はしてないけど。

何にせよ、花束持って女を待つとかいう慣れない状況から少しでも気を反らせたい俺は、猫へと声をかける。


「来いよ。怖くないぞ」

「みゃ」


猫は明らかに俺を警戒していた。
それが成美に似て見えて、思わずムキになって呼びかける。


「来いよ。ほら」


怖がらせたりしないから来い。
頼むよ。俺に勇気をくれないか。

猫は俺を見つめて、恐る恐るだが近づいてきた。
希望に近いものを感じて、思わず顔が緩んだ。

その時だ。