降り注ぐのは、君への手紙



「……っ、ふっ、や」


もがく成美を押さえつけるように、体を抱きしめる。
逃れようとする頭を右手で抑えて、左手で腰を掴み離さない。


ヤバイ。
これじゃああの時の暴漢と一緒だ。

そう思ったけれど、手を離せなかった。
このままずっと彼女を俺の中に閉じ込めたいって気持ちで、頭の中が一杯になる。


正気に返ったのは、成美から突き飛ばされた時だ。
彼女は呼吸を荒くしながら、涙目で俺を睨みつける。


「嫌。怖い。怖いっ」


零れ落ちる涙の方はお構いなしに、汚いものに触れたように何度も唇を拭う。
片方だけ外れたお下げ髪は涙で顔に張り付いていた。


「成美、俺」

「どうしてこんなに酷いことするの。武俊くん、私の事そんなに嫌い?」

「違う」


逆だ。
好きなんだ。

そう言っても、信じてもらえるとは思えなかった。
いつも傷つけるようなことばかり言って、彼女を悲しませてばかりの俺がどの面下げて言える?


「……ムカつくんだよ。不幸な状況に酔ってるみたいに、いつまでも親父のことばっかり追いかけてるのが」


俺の言葉に成美はますます悲しそうに顔を歪めた。


「なんで自分から幸せになろうとしないんだよ。お前バカなのか!」

「バカじゃないわ!」


成美の手が俺の頬を叩いた。
瞬間しまったというような顔をして、それでもギュッと唇を噛み締めて俺を睨む。