降り注ぐのは、君への手紙



「じゃあ辞めるか?」


反対されると思っていたのか、俺の提案に成美は戸惑ったように顔を上げた。


「え?」

「辞めたいなら辞めろ。成美一人くらい俺が食わせてやる。中学生なんて多感な時期だ。杓子定規に対応しようったって無理だよ。学校が変わったって成美が今の生徒も指導できないようじゃ同じだ。生徒にも失礼だろ。嫌々先生されても」


負けず嫌いの成美は唇を噛み締め、そして首を振った。


「嫌々でやってるわけじゃないわ。私は、……教師になりたかったの。昔から」

「親父はもっと融通効いたぜ、いろんなこと。俺の意見だけどな、大人が自分らを信用してるかどうかって肌で分かるもんなの。信用されなきゃ信用出来ない。人と人の関係だからな。先生は一人で何十人も見なきゃいけない。大変だろうけどよ、でもつながってるのは一人と集団じゃない。一人と一人の沢山の線じゃなきゃだめなんじゃないのか?」

「お前、さっきあの子達って言ったよな。その首謀者は誰だ? お前は一人ひとりとちゃんと向き合っているのかよ」


問い詰めると、成美は唇を噛み締めて、「もういい」と帰ってしまう。

落ち着いてから、実際にやっていないから俺はなんとでも言えるんだよなと思って落ち込んで、酒をがぶ飲みしていると夜には電話がかかってきた。

「もう少し頑張ってみる」と言った成美を抱きしめたくて、「外に出てこい」と言って嫌がられたりもした。

全てうまく行ったわけでは無かったが、成美はそこで三年間勤めあげた。