「ずっと武俊くんに見せたかった。私、もう不幸ヅラなんかしてない。逃げたりしない。後ろばっかりみない。武俊くんが怒ってくれたから。……ちゃんと変わろうって思って頑張った。だからずっと……」
“起きるのを待ってたんだから”
それを聞く前に、俺は彼女を自分の腕の中に閉じ込めた。
「成美が好きだ」
今の自分は、弱っちくて好きじゃない。
だけどこれ以上、負けたくなくて言った。
「……私も、武俊くんが好きなんだと思う、多分」
「なんでそこ弱気なんだよ」
「だって。確かめたくても寝てたんだもん」
突っ込んだらクスクス笑われる。
俺もつられて笑った。
息が届く距離で、すぐ近くに成美の笑顔。
心が暖かくなって、意地とか色んな物を溶かしていく。
「あ、ねぇ、雪だよ、武俊くん」
成美の声につられて顔をあげると、確かに白いものがふわりふわりと待っている。
「風花だね」
「かざ……なんだって?」
「こんな風にちらちら降る雪のことだよ」
「へぇ」
風流な言葉を知ってるな。
でも、ロマンティックじゃん。
まるで天からご褒美でももらったみたいだ。
俺は成美の頬に手を添える。
雪から俺に視線を移した彼女は、俺の意図を察知したのか体を固くした。
「嫌か」
「う、ううん」
「じゃあ、遠慮なく」
ゆっくりと触れた唇は、柔らかくて熱い。
「にゃーお」
邪魔すんな、猫。
今一番いいとこだ。
なにせ、長年の初恋が実った瞬間なんだからな。



