降り注ぐのは、君への手紙


大学生活が三ヶ月ほど過ぎた頃、私は講義が一緒になる男の子たちから立て続けに告白された。

話したことはある。
だけど彼らは、私の何を知って好きだと言うのだろう。

見た目は確かに昔より良くなっただろう。
明るい色の服も、着るようにしている。
だけどそれはすべて、もう二度と武俊くんに“不幸に酔っている”なんて言わせないためだ。

私は、彼らの告白をすべて断った。

ねぇ。どうしてくれるの、武俊くん。
あなたと話さなければ、私は一歩も動けそうにない。

せっかくおじさまを卒業出来たと思ったのに。
今度は、いつの間にかあなたに捕らわれている。

努力するから。
髪を下ろして、伊達眼鏡を外して、お化粧もして、あなたが言ったように人に好かれる努力をする。

だから起きて。
お願い、武俊くん。





更に月日がすぎる。


「もう、目を開けないのかねぇ」


おばさまが、ポツリと呟いた。
彼女の手元には、何枚もの書類があった。“ドナー”とか“臓器”とかの単語が見えて、体から血が引いていく気がした。


「武俊はこういうもの一切に署名なんかしてないんだけど。このまま目を覚まさないなら、他の人のために役立てたほうがいいのかねぇ」

「おばさま、ダメ、待って」


私は勢い良く書類をひったくった。


「お願い、待って。ダメ、ダメ、ダメ」


子供みたいに単語しか出てこなくて、しかも、声を出せば出すほど、涙までがこみ上げてくる。


「ダメ。……嫌だぁ」

「成美ちゃん。ごめん、泣かないで」


おばさんは謝りながら涙ぐみ、私達は一緒に泣きじゃくった。


お願い。
なんでもするから。

代わりに私が死んでもいいから。

武俊くんを目覚めさせて。