大学生活が三ヶ月ほど過ぎた頃、私は講義が一緒になる男の子たちから立て続けに告白された。
話したことはある。
だけど彼らは、私の何を知って好きだと言うのだろう。
見た目は確かに昔より良くなっただろう。
明るい色の服も、着るようにしている。
だけどそれはすべて、もう二度と武俊くんに“不幸に酔っている”なんて言わせないためだ。
私は、彼らの告白をすべて断った。
ねぇ。どうしてくれるの、武俊くん。
あなたと話さなければ、私は一歩も動けそうにない。
せっかくおじさまを卒業出来たと思ったのに。
今度は、いつの間にかあなたに捕らわれている。
努力するから。
髪を下ろして、伊達眼鏡を外して、お化粧もして、あなたが言ったように人に好かれる努力をする。
だから起きて。
お願い、武俊くん。
*
更に月日がすぎる。
「もう、目を開けないのかねぇ」
おばさまが、ポツリと呟いた。
彼女の手元には、何枚もの書類があった。“ドナー”とか“臓器”とかの単語が見えて、体から血が引いていく気がした。
「武俊はこういうもの一切に署名なんかしてないんだけど。このまま目を覚まさないなら、他の人のために役立てたほうがいいのかねぇ」
「おばさま、ダメ、待って」
私は勢い良く書類をひったくった。
「お願い、待って。ダメ、ダメ、ダメ」
子供みたいに単語しか出てこなくて、しかも、声を出せば出すほど、涙までがこみ上げてくる。
「ダメ。……嫌だぁ」
「成美ちゃん。ごめん、泣かないで」
おばさんは謝りながら涙ぐみ、私達は一緒に泣きじゃくった。
お願い。
なんでもするから。
代わりに私が死んでもいいから。
武俊くんを目覚めさせて。



