降り注ぐのは、君への手紙


やがて救急車が到着し、隊員が無理矢理引き剥がして離そうをした時、私は「その猫、私にください」と申し出た。

そこまでして救った猫なら、きっと後で姿を見たいだろうと思ったからだ。

おじさまが同乗した救急車が走りだすと、見物人は蜘蛛の子を散らすように消えていく。
アスファルトにこびりついた血の色はひどく禍々しいものに思えた。


「成美」


人気がなくなってから近づいてきた那美子さんに私はぼんやりと問いかける。


「那美子さん。……猫の飼い方知ってる?」

「さあ。飼うつもり?」

「うん。そうしようと思う。しばらく時間もあるし」

「事故ってたの誰?」

「校長先生の息子さん。私にとっても、幼なじみだわ」


口に出して、改めて思う。
特に仲が良かったわけではないが、幼なじみだ。

理由を見つけたような気がした。

彼の救った猫を引き取るのも、彼を心配するのも、私に与えられた権利だ。
“幼なじみ”なんだから。

だから彼が目覚めた後は、会いに行ってもいいはずだ。

“幼なじみ”が理由になってくれる。