降り注ぐのは、君への手紙



「成美?」


那美子さんの呼びかけに、はっと我に返る。

ほら、また。
気がつけば武俊くんのことばかり。


「あーいた。成美先輩、那美子先輩、卒業おめでとうございます」


二人の後輩が花を渡しに来てくれ、私は眼鏡を外し、彼女たちを迎え入れる。

そうだ。卒業するんだ。
もう意地を張るのも、不幸に酔うのも終わりだ。


「じゃ、行きましょうか、那美子さん」

「そうだな」


改めて荷物を取りに教室に戻ろうとした時、校門前の異変に気づいた。
人だかりがあり、救急車の音が近づいてくる。

校長先生……おじさまが走って行くのに気づき、その後を追いかける。


「おじさま」

「ああ、成美ちゃんか。大変なんだ。武俊が」

「武俊くんが?」


おじさまが近づくと、人だかりが二つに割れる。その中心に、頭から血を流して倒れている武俊くんの姿があった。ざわめきには猫の声が交じっていた。


「きゃっ」


私は思わず悲鳴をあげ、おじさまの背中に隠れるようにして覗き見た。

目撃者が近寄ってきて、おじさまに状況を説明する。
どうやら、武俊くんは猫を助けようとしてトラックにぶつかり、五メートルほど宙を飛んだらしい。
言われて見れば、彼は猫をしっかりと掴んでいる。意識が無いのにも関わらず、だ。