降り注ぐのは、君への手紙

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 卒業式がしめやかに終了し、教室でのHRを終え、多くの生徒が昇降口で後輩たちに囲まれ歓声を上げる中、私は親友の那美子さんと一緒に学校内を散歩していた。

 校長先生と一緒の場所で過ごしたい。そんな思いから選んだ高校は、自分の学力レベルからは少し下がる。

学年主席を維持し続けた私についたアダ名は“ガリ子ちゃん”だった。ガリ勉の子、の略らしい。

同級生には特にイジメられたわけではないけれど、仲良くもされなかった。その中で那美子さんという親友に出会えたのは幸運だっただろう。


校舎内を歩き、やがて校舎裏に出る。
あまり人気がないここは、那美子さんと一緒にお昼を食べた場所だ。

まだ蕾の付かない桜を見ながら、まるで儀式のようにおさげを解いた。
風に吹かれてふわりと揺れる。まるで頑なだった自分の気持ちも解れていくようだった。


無理矢理キスをされたあの日から、脳裏にちらつくのは武俊くんのことばかりだった。

怖かったし、悲しかった。
なんといってもファーストキスだもの。それなりに夢を持っていた。

それでも、『ムカつくんだよ』と言った彼の言葉が突き放したものには思えなかった。


『なんで自分から幸せになろうとしないんだよ』


何度も頭のなかでリフレインする言葉。
時間が経つ度に、逃げるように視線をそらす彼を見る度に、あの言葉が“幸せになれ”と変換された。

武俊くんはずっと、変われと言ってくれていたんじゃないだろうか。

不幸な過去にしがみついて、不幸なままで満足するんじゃなくて。
変化を恐れずに幸せになるために頑張れと、言いたかったんじゃないだろうか。