彼女は驚いたように顔をあげる。
そして「じゃあやっぱり、あの花束も?」と続ける。
俺が事故遭った日、校門前に花束が投げ出されていたため、話題になっていたのだという。
俺は頷いて、気恥ずかしさに目をそらした。
「あの時はごめん」
「うん。……ううん、それはもういいの。花束、私にだったのならありがとう」
「渡せなかったけどな」
はは、と笑って成美を見つめる。
本当に変わったな、と思う。
物怖じもせず俺をちゃんと見るなんて、以前の成美からは考えられない。
無性に、知りたいという欲求が湧き上がった。
俺の知らない九ヶ月を。彼女が変わるまでの心境を。
「……起きたらいきなり十二月だから、正直戸惑ってる。教えてくれよ。成美は卒業してからどうしてた? 俺は車にぶつかってからどうなったんだ?」
「おじさまに聞いてないの?」
「自分のことは目覚めて直ぐにまくし立てられたけどさ。頭になんか入んねーよ。一度言われたら聞き返すのもなんだし」
「そっか。私が知ってることで良ければ話すけど」
「頼む」
「うん」
成美は、正面を向いて目を細めた。
そして、あの事故からの日々を、時々つっかえながらも話してくれた。



