降り注ぐのは、君への手紙



「高校三年間、精一杯頑張っておじさまを追いかけて、それで諦めようって思ったの。成績優秀ないい子で、おじさまの教師人生で一番の優等生になろうって。それで満足しようって思って。……でもね。あの時も武俊くんに怒られた。『不幸な状況に酔ってるみたいだ』って」

「ああ。……あの時は悪かった」


キスした時だ。
成美を思い切り泣かせてしまった時。


「その時は悲しかったよ。武俊くんに何が分かるのって思った。……でも、後になって考えると確かにそうだった。ただ不幸に酔って、変わることを恐れて、縮こまっているだけ。おじさまを好きなら、叶うこともない反面傷付けられることがないから」


成美の声は、淡々としていた。
その口ぶりに時の流れを感じる。
あんなに頑なに親父を追い続けた成美が、今は自分を冷静に見れているんだ。


「卒業したら前を見ようって決めてた。……武俊くんにもお礼を言いに行こうって決めてたの。なのに、びっくりしたよ。事故に遭うなんて。しかも、うちの高校の前で」


成美は顔をあげ、俺をじっと見つめた。
長いまつげが瞬きとともに揺れて、俺は心臓をくすぐられたようなこそばゆい感覚に陥る。


「成美に会いに行ったんだ。謝ろうと思って。……怖がらせたし」