降り注ぐのは、君への手紙



「……なっ」


まるで、絵に描いたような稲妻だ。
続いて激しい雷鳴が響く。

結構近いんじゃないか? これ。

呆然と見とれていたら、今度は雨が激しくなる。

周りの人は雷には頓着せずに建物内に逃げ込んだようだ。それに見とれた俺だけが、あっという間にびしょ濡れになってしまった。

こうなると店に入ってももう迷惑だろう。
家に帰るか、と踵を返すが家もまた遠い。

仕方なく適当な店の軒先でカタカタ震えていたが、雨があまりにもやまないので、俺はここから一番近い逃げ込める場所に向かった。

以前のバイト先の喫茶店【珈琲亭】だ。

路地を一本入ったところにあるから、一見さんはあまり来ない。
作家の常連客が多く、大学生にも口コミでそこそこ有名だ。

でもなぜかこの店は混みあうということがない。
誰もが自分好みの混み具合の時間帯を狙ってやってくるという感じだ。

だから、びしょ濡れの俺が行っても何とかしてくれるだろう。


「いらっしゃ……お、おうおうおう、タケじゃないか」

「マスター、助けて」


マスターは俺を見るなり、大急ぎでタオルを取り出し、投げつけてきた。

店内は常連客が数人いるだけで閑散としている。

古びた木製の柱、珈琲の匂いが染み付いたカウンター。
俺が最も落ち着ける場所。