「は?」
「一緒に行こう。一緒に死のうよ。叶わない恋に見切りをつけて、今度こそ私を見て欲しい。忘れるまで待つよ。私、今度こそ頑張る」
「何言ってんだ。俺は生き返る」
「もう無理よ。私と一緒に死んで」
真剣な表情の妃香里に、以前この郵便局に来た、心中しそこなったばーさんの件を思い出す。
“しがらみのない世界に二人で旅立とう”
それは、魅力的なようで一方的な誘い。
心中なんて、結局は奪う行為だと俺は思う。
楽にはなれるのかもしれない。
だけど希望を奪うことには変わりない。
「希望なんて無いんでしょ。彼女は貴方を嫌ってるって言ってたよね。だったら私を救って。お願い」
確かに希望はない。
でも、俺の気持ちは変わらない。変えられなかった。
何度も失敗してそれでもダメだったんだ。
だからもう間違えない。
見える未来が不幸だとしても、俺はこれ以外の未来は選べない。
「……悪い」
「武俊くん」
「俺が好きなのは、成美だ。例え叶わなくても、今は諦めたくない」
妃香里の顔がくしゃりと歪む。
「どうしてぇ? なんで私じゃダメなの」
「妃香里がダメなんじゃない。成美じゃなきゃダメなだけなんだ」
「どうして、どうして、どうしてっ」
「タケさん、まずいっ」



