渡ればおそらく死後の世界にいけるのだろう。
だけど足が動かず、河原に座り込んでいる内に、お腹の辺りが熱くなってくる。
痛い、痛い。
ここを通る亡者も、監視をしている鬼たちも私のことには見向きもしない。
死んだのなら、鬼とかにも見えるんじゃないの?
どうして誰も私を連れに来ないの。
ここでも、私は人の目に止まらないの?
途方に暮れてうずくまっていたらヨミさんが現れた。
「まだここにおられたんですか?」
「ヨミさん。……私、生き返れない?」
「残念ですが、貴方の場合はもう戻る肉体がありません。葬儀が済まされてしまったのですよ」
「じゃあ行くしか無いの?」
「そうですね。その前に未練を晴らすことができればいいかと思うのですけど」
ヨミさんの瞳は、優しかった。
急き立てるような事はせず、私の結論を待ってくれる。
「……でもあんな手紙、嘘だわ」
「どういうことですか?」
私が体を起こすと、ヨミさんの顔つきが変わる。
彼の視線は、私のお腹のあたりで止まっていた。
「あの鏡で見た時にね、思ってしまったの。あの子さえ居なければって。あの子と入れ替わりたいって。
……あの手紙に書いたことは本心じゃない。本当は恨んでる。付き合うって言ったなら、どうして私を見てくれないの。嘘つきよ。私、彼の幸せなんて願えない」
どうして私じゃダメだったの。
あの子が彼を好きならともかく、彼に何をしてあげるでもない、地味な格好の高校生に、どうして彼を奪われなくちゃならないの。



