降り注ぐのは、君への手紙


知らない街の景色、徐々に近づく一軒家。
その中に、武俊くんの姿がある。

自宅の窓から、彼は道路を眺めていた。
視線の先には、眼鏡をかけたおさげの女子高生。
彼の視線にも気づかずに、ただまっすぐに歩いて行く。

彼は見たことのないようなイライラした表情で、親指の爪を噛むような仕草をした。怒っているのかとも思うけど、私には泣いているように見えた。

……分かりたくないのに分かってしまった。

――ああ、この子だ。

咄嗟に、黒い物思いが私を包む。


「ヨミさん、やっぱりやめて。手紙、出さないで」

「はい?」

「やっぱりいいです。失礼します」


私は、郵便局を飛び出した。

モヤモヤした自分の気持ちを、どうにも処理できなくて走る。

だけど、走っても走っても、木々が繋がる森であり、開けたところは岩場だったり。
私の知る景色には何時までたっても辿り着かない。

もう行くところなんて無いんだ、と理解した時足は止まった。


そこは、石が一杯敷き詰められた河原だった。
目の前には大きな川があり、渡しをしている舟がある。

辺りには鬼がいた。私と同じような人間みたいな人たちも。

漫画とかで見たことがある。
多分、ここがいわゆる賽の河原と呼ばれるやつで、目の前に広がるのが三途の川というやつだ。