降り注ぐのは、君への手紙



 彼と別れてから、私の生活は地味なものに戻る。
さすがに、気持ちが落ち着くまでは珈琲亭に行く気もしない。

二月、巷はバレンタインだと賑やかしい。

普段私が苦手としているタイプ女の子たちが、情報交換をしながらきゃあきゃあお菓子屋さんをハシゴするのを横目で眺めて、ため息をつく。

二十歳にもなって、未だに誰かにバレンタインの贈り物をしたことがない。

もちろん、恋は人並みにしてきた。でも伝えることは怖くて。
バレンタインなんて絶好の機会があったって、関係ないふりして見過ごしてきていた。

……頑張ればよかったな。

自然に出たため息が、頬杖をついていた手をかすめる。

頑張っている女の子たちが苦手だと思うのはきっと眩しいからだ。
私は、いつだって傷つくのが怖がって理由をつけて黙りこむ。

思えば、クリスマスの都合が合わなかっただけで、私は諦めてしまってたんだよね。
押しつけになってもいいから、プレゼントを渡せばよかった。

告白が大きな一歩だと思っていた。
これだけ頑張ったからもう何もしなくてもいいって。

でも、一歩だけじゃダメだったんだ。
二歩、三歩、何度でも頑張り続けなきゃ。

武俊くんがこっちを向いてないのは最初から分かってた。
だから、本当に欲しいのなら、私は頑張り続けるしか無かったのに。