慌てて布団を掛けなおして部屋から退散したのは、上半身裸のままで寝ていた彼の姿をばっちり見てしまったからだ。


なんで裸なのよ。
うつ伏せだったからまだよかったものの……。


もう百七十五センチを超えた響ちゃんは、小さな頃から体が大きく、ずっと陸上の短距離をやっていた。
そのせいで体は鍛えられていて、無駄な脂肪など見当たらない。

だけど、その陸上も最近はサボりがちだ。


背中だったとはいえ彼の裸は、まだ男の人に免疫のない私には、わりと衝撃的なシーンだった。
ドキドキが止まらない。


「莉子、先に行ってろ」


ドア越しに響の声がする。


「そんなこと言って、サボるつもりでしょー」


実は、去年お父さんが家を出て行ってしまってから、無気力になってしまった響ちゃんに手を焼いている。