「あっ」



小さな声を出した夏目。

ハッとして彼女を見やると、視線は足元に。

辿ったその先には食べ終わったりんご飴────芯の部分に刺さった割り箸が落ちていた。



「食べ終わっててよかったな」

「うん」

「しかし、お前本当によく、ものを落とすよなー」

「う。ご、ごめんね。
もう、わたしってなんでこう、ぬけてるんだろう……」



しょんぼりと言わんばかりの雰囲気。

悲壮感がどよーんと漂う。

空気重い重い。



周りに可愛がられてるし、いいんじゃないのと俺は思っている。

だけど、本人はドジなところを「可愛い」と言われても嬉しくないらしい。

多分、彼女にとってのコンプレックスでもあるんだろう。



俺も彼女のそんな部分は見事だと思うと同時に可愛いと感じている。

でも、俺が夏目のことが気になっている理由とはちょっと違うんだ。
















それは本当に、些細なことだった。