極彩色のクオーレ






「……ありがとう、ニコ。私のわがままを聞いてくれて」


「当然のことですよ。


ですが本当に危険になったときはすぐにルースから離れますのでご了承ください」


「うん。セドナもありがとね」


「あ、いや、俺は別に……」



セドナはブリキの関節部の調子を確かめるようにゆっくり牡鹿の向きを変えるニコを見た。


こんなに必死になっているニコを見るのは初めてだ。


今までも他の人が危険な目に遭う場面に何度か居合わせたことはあったが、彼は今よりもかなり冷静に対処していた。


いや、今も冷静ではあるが、その奥底に潜む感情のうねりがもっと穏やかだったのだ。


今はそれが大きく、強く、唸るようにうねっている。


やはりその対象者がティファニーになったことで、彼の中にも変化が起こっているのだろう。



――だからこそ、その反動が非常に怖い。


もしもセイクリッドと手を組んだ住民によってティファニーが危険に晒されたり傷つけられたり、万が一命を奪われたりでもしたら、それこそ取り返しのつかない事態になってしまう。


ニコの身体には、簡単に相手を殺せる武器が仕込まれているのだから。


セドナも暴走したニコを食い止める自信は全くない。


そうなればニコは完全に悪者になってしまう。


こちらが正しいということを住民に伝えられないままにだ。