行き先に悩む二人にティファニーが言った。
請うようにニコの服を掴む。
「な、何でだよティファニー。
今ルースに行っても、あっちにはセイクリッドとグルの奴が」
「それでも行かなくちゃダメなの!」
いつも柔和なティファニーからは想像もつかないきつい声音が飛び出した。
セドナは口を閉じてティファニーを見下ろす。
行き場を失った右手が、戸惑うように空を握った。
「お願い、街へ戻って……みんなに伝えなくちゃ、伝えなくちゃいけないことがあるから」
「ティファニー……?」
ニコは手綱を持ったまま、黙って主人を見つめていた。
セドナの言う通り、ルースにはセイクリッドのこの計画に協力している者がいる。
それが誰なのかもその数も把握できていないこの状況で戻ることは捕まりに行くも同然であった。
だが、ティファニーは戻ることを切実に望んでいる。
安全な道を選んで少しでも狙われるリスクを下げるべきか、危険を承知で主人の望みを叶えるべきか。
(行かなければティファニーはきっと後悔する。
でも、ティファニーがまた捕らえられてしまうことだけは避けたい……)


